InterAqua 出展者の見どころ〜特集記事〜

信州大学 アクア・リジェネレーション機構

【信州大学 アクア・リジェネレーション機構】
地球再生を駆動する水・エネルギーマテリアル革新
無機イオン交換体「信大クリスタル」、ナノマテリアル複合化RO(逆浸透)膜、水分解光触媒材料など、信州大学が仕掛ける、水・水素エネルギーを基軸とした地球再生プロジェクト

2026年1月9日

地球再生に向けた取り組みで求められているのは、単なる環境負荷低減にとどまらず、経済活動を通じて環境価値を創出するアース・ポジティブなアプローチだろう。その実現に向け、信州大学は水に関するトップレベル研究者を集約し、アクア・リジェネレーション機構を立ち上げた。彼らがInterAqua 2026で提示するのは、単なるアカデミアの研究成果発表ではない。大学全体の知見を総動員して、水循環とグリーンエネルギーの社会実装に挑む「産官学連携プラットフォーム」としての姿だ。

理論だけでなく社会実装を始めた大学

大学の研究は、論文発表や材料開発だけにとどまらない。それをどう使い、どう社会システムに組み込むかまで見据えてこそ、地球環境の再生につなげることができる。 信州大学が目指しているのは、大学を技術の供給源から、社会変革の拠点へと進化させることだ。 信州大学が今回の展示で強調するのは、個々の技術スペックよりも、それらを統合して社会課題を解決する、大学の総合力である。水環境に恵まれた信州の地で、大学がハブとなり、企業・自治体と連携して、理論だけではなく、社会実装を含めた実証タウンを構築する。今回のブース出展は、その共創パートナーを募るための重要なステップになるだろう。

図1:水の惑星地球の再生へ向けた具体的な取り組み

連携の核となる尖ったマテリアルとシステム構想

実際に連携によってどのようなイノベーションが生まれるのか。その核となるのが、信州大学が保有する独自のシーズだ。これらを水浄化・循環システムやグリーン水素生成システム等にどのように組み込むか、具体的な検討と実装が始まっている。

1. 独自の結晶育成技術による無機イオン交換体

一つ目は、信州大学が世界を先導するフラックス法によって育成されたイオン交換体の結晶「信大クリスタル」だ。 従来のイオン交換樹脂とは異なり無機物を主体としているため、メンテナンス性に優れるだけではなく、処理速度も速くすることができる、高度な水処理が可能になった。
この結晶技術をフィルターやデバイスに応用し、用水処理や排水処理のプロセスにどう組み込むか。素材提供にとどまらない実装提案が行われている。

図2:信大クリスタルの製造方法とイオン除去率

2.省エネ脱塩と資源回収を両立するナノカーボン複合RO膜

二つ目は、RO膜(逆浸透膜)の課題である高圧ポンプによる消費電力を解決する、ナノマテリアル複合化技術だ。 ナノカーボンやセルロースナノファイバーを高度に複合化させたRO膜により、なんと0.2MPaの極超低圧駆動も達成する事ができ、高圧ポンプがなくとも水道水圧や手押しポンプによる圧力だけで処理が可能になった。さらに極超低圧なだけでなく、不純物が付着しにくい優れた特性も有しており、例えば海水淡水化用RO膜についての北九州の実海水実証実験において従来品に比べ、駆動圧上昇がほとんど発生していないことが確認され、海水淡水化用RO膜でも省エネが期待されている。

図3:開発した種々のナノ複合RO膜の例

図4:北九州における実証試験の差圧変化

3.太陽光と水で水素をつくる光触媒

そして三つ目が、究極のクリーンエネルギー生成技術である人工光合成だ。ノーベル賞の前哨戦ともいわれるクラリベイト引用栄誉賞を受賞したことで有名な光触媒による水を水素と酸素に分離する技術である。既に屋外での100m2のパネル実証を成功させ、現在は更に大規模の実証フェーズが計画されており、実用化に向けたスケールアップの段階に入っている。水素生成という単独技術だけではなく、それらを元に大気中のCO₂からオレフィンなどの有機物を作るなど、実際の自然界を模したエコシステムを構築することも考えられている。
ブースでは、これらの技術がどのようにシステム化されようとしているのか、その現在地を確認することができる。

図5:北九州における実証試験の差圧変化

求む、共創パートナー。実証タウンを共に創ろう

信州大学が目指すのは、技術の切り売りではない。これらの技術を地域社会に実装し、モデルケースを作る実証タウン構想だ。 大学のキャンパスや連携する自治体をフィールドに、実際の水処理やエネルギー供給の実証を行っていく計画である。そこには、プラント設計、膜・吸着デバイス製造、運用・メンテナンスなど、あらゆる企業の参画余地がある。 「自社の技術と信州大のシーズを組み合わせたい」「地球再生や脱炭素の新規事業を探している」。そんな課題を持つ企業こそ、ぜひブースに足を運んでほしい。 そこには、研究室の扉ではなく、未来の社会システムを共に創る「産官学連携」の扉が開かれているはずだ。

小間番号 : 2S-K16

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